エアコンなしで快適に住める家
(テーマに関連した設計者のメモとして)
冬の採光と夏の通風をどう工夫すれば快適に住めるのだろうか。
特に以下の場合が難しそうです。
・冬の曇り空の場合はどうなるのか
関東地方の場合、冬場は季節風、いわゆる「赤城おろし」に代表されるように乾燥した晴天が続きますので日照が利用できますが、時として曇天に見舞われたときはどうしても暖房がないと快適ではありません。日本海側の豪雪地帯の人たちの苦労が偲ばれます。昔の人は室内でたき火をしたり、火鉢に炭をおこして灰に埋めておくというような工夫をしていたと思われます。現在では暖房熱源として薪、炭等に加えて電気、ガス、灯油、太陽光等が利用されています。このような暖房設備には種々の選択肢(OMソーラーや、蓄熱暖房を含めて) がありますので、費用対効果を考え、よりよい選択をすることが大切ではないかと思います。当然ワンポイントとしての利用も考えられます。同時に昼間の日照を有効利用すると共に、床、壁の蓄熱性能を向上させたり、断熱、気密を高くし、省エネルギーの家にしておくことも重要ではないかと思われます。
・夏に風が無い場合はどうなるのか
夏の気象条件として見逃せないのは、海風陸風のことでしょう。よくいわれるように昼間、日照にさらされた内陸は海側に比べて、温度が上がり高気圧になるため上昇し、海側からの風が吹き込まれます。夜間はその逆方向に風が吹きますのでこの風は微風といえますが、絶対に利用するべきでしょう。特に気流方向に対応した平面、断面の空間構成は、ないがしろに出来ません。では凪のときにどうするか、このような時には扇風機がどうしても必要ではないかと思われます。特に天井扇は夏冬を問わず、活用できると思います。
・梅雨の時期はどうなるのか
最近は素材に有機的な材料を使用することが見直されてきています。この理由の一つとして、材料に調湿機能があることがあげられます。人間の生活をやさしく包んでくれる第二の衣服ともいえる役割を満たしているためと考えています。木材を始めとして和紙、布、珪藻土やしっくい等は代表的なものです。これらの仕上材料は、アレルギーを引き起こす可能性も低く、健康的な素材だと思います。梅雨時にはこのような素材の持つ湿度調整の役割を有効に活用すべきではと考えています。
何れの方法も完全無欠なものだとは思いません。アルミサッシの断熱性など、性能向上も著しいです。私見ですがエアコンなしで快適に過ごすために、住宅の空間構成を考えると同時に、材料や素材の適性をよく捉え、住まいとして有機的に調和させていくところに設計の要点があるのではないでしょうか。